襤褸布団皮 山形県庄内地方 明治時代
兎に角、アートである。まるで抽象画を見るようである。手に入たのは15年前。山形県の骨董屋さんにて。裏を開いたときに驚いた。200枚以上のつぎはぎがしてあった。これが本当のパッチワークであろう。木綿は寒い庄内地方では育たなかった。北前船(18~19世紀)、大坂から、下関を経由して北海道江差に至る西回り航路に就航した船により古手の木綿着物が荷のパッキン替わりとして使われた。庄内の女性たちはその荷が来るのが何よりも楽しみであった。荷が着くと、その古手の木綿を皆で大切にし平等で分け合った。限りある材料で家族のために作られた、布団である。ここに先人女性たちの知恵と経験が染み込まれている。人に見てもらうことを意識したわけでは無いのに、美しい。
マリア書房 襤褸に生きる より
2012年9月1日(土)